1960年代にジョルジュ・アンリ・リヴィエールが提唱したエコミュゼは言葉の持つ魅力もあって,諸国に伝わり,我国でもこの名を使う施設 が多い。その概念の広さのため,フランスでも開かれたエコミュゼの中には成功例、陳腐化例など様々であるが、下記のように文化省の傘下で基準化され、また その他PNRも含めた所謂社会的ミュゼは別表に示すようにフランス各地の多数出来ている。

エコミュゼとは(フランス、エコミュゼ・社会的ミュゼ連盟ホーム ページより

エコミュゼ
 1970年代にフランスで創設され,定義され、使われて来たエコミュゼの名はその後大きく国際化した。ペーター・デヴィスは25ヶ国で166出来ていると1999年に報告している。
 フランス的な運動であるエコミュゼの思想は人間とその環境を対象とする。即ち「人間とその領域としての家庭、村,小さな郷土、地域」である。フォーラム としての博物館、エコミュゼは人間と環境の総体的で分離不能の視点を提示し,人間共同体の行動に役立ち、そのあるべき発展に寄与する。
 社会に開かれ,住民と施政者に対しては民衆的であるエコミュゼは、今日種々の問題を扱う。しかし「エコミュゼの名は乱用され,目的とした意味から外れ、 その創始精神をなんら具現しない組織が用いている。詐称というか,自然進化と言おうか,全く不相応なものを示すことにもなる。」

社会的ミュゼ
 1991年エミリー・ヴァイアンがこの名称で民俗学、芸術、民俗伝承博物館、技術、工業、歴史博物館、景勝地や野外博物館、 海洋博物館それにエコミュゼを総称することを提案した。
 これらのミュゼは人間と人間が実現したものを考察し,種々の方法で、収集物や研究が示す知識の一部を伝える。資料としての事物の古典的展示やそれらが示 す考えを説明する道筋とは別に,社会的ミュゼは当初から他の表示技術(視聴覚、機械化など)や人的介入(労働者や住民)表示法を発展させ,今日では,博物 館や遺産分野で採用され一般化した。
 科学的、文化的、学際的表現形態全体として,地域を価値づけるため、エコミュゼを踏襲する社会的ミュゼは、地域の遺産の種々の要素を共鳴させ,地域の文 化的解読を容易にする。
 地域のミュゼ、「記憶の渡し守」,共同体と遺産の通訳者,「木靴のミュゼ」、「不況のミュゼ」など、誉められたり貶されるものを含め、エコミュゼと社会 的ミュゼは、田園、都市、郊外地域で、地域の構造化と発展に果たすその役割は単なる文化的領域を超えて行く。
 文化的遺産を広く社会化し、価値付け、研究、保存を図り,未来の世代に役立てるため、社会的ミュゼは、社会を観察・分析し,疑問を呈し,今や、多様な民 衆の心の拠り所として、文化間、世代間の真の仲介者となっている。


エコミュゼの憲章      1981年3月4日文化情報大臣通達

 ジョルジュ・アンリ・リヴィエールが1950年代に提唱し,1968年から地方自然公園内で,71年にはクルゾで実験された エコミュゼは国家的文化運動になってきた。
 それが,民族的遺産の確保し,自らの地域を全ての時空的尺度で深く理解しようとする国民の強い要望に応えているのは確かである。
 実験、学習,保存の場として、エコミュゼは古典的博物館を包括し超越した。多様な活動で職際的役割を持ち,協力者、科学者、住民が誰でも参加できるよう な内部組織を必要として来た。
 しかし,このような特殊性が永続するには,平行して、強固な法的・科学的保証が定款においても,研究、目録作成、催事計画面でも必要である。
 種々の企画や申請数の増大に面して、文化省も介入方法を精密にせざるを得ない。
 当通達の目的はエコミュゼの固定化や掌握にあるのでなく、その組織と機能を明確にして,文化省の援助の条件を精密にすることである。
         ジャン・フイリップ・ルカ

定義
第一条.    エコミュゼは、常時、特定な地域において、住民参加により,地域での生活の環境と様式の表徴としての自然・文化財の総体を研究し,保 存し,表示し,価値づける機能を持つ。
目的
第二条.    第一条の使命は下記の行動の実行で確保される。
エコミュゼの動産、不動産としての遺産の目録の作成。
地域に関連する事物や文書の収集物の物的保存と表示。
展覧、催事など活動の開催。
買収、寄贈、遺贈、募集などによる収集物の豊富化とそのためのフランス博物館局長の指示に従った協約の締結。
一般目録作成指導担当の地方局と連携して、エコミュゼの領域にある動産、不動産としての地域遺産の重要な要素の研究。
取得が不可能な在地遺産に必要な保護の方法の状況に応じた提案。
住民の作業,知識、社会構成などについての研究計画をエコミュゼの領域の地方段階の教育・研究機関の援助により定義、実行に移す。
教育・研究機関との共同による保存、教育,研究などの専門家や技術者の養成。
研究結果の保存と周知。
教育機関や大学の援助による住民意識向上や周知行動計画の作成と実行。
エコミュゼ地域の教育的表示。
エコミュゼの主体

第三条.    エコミュゼの主体は地方自治体、公共機関、混合組合、協会、財団とする。
収集物の定義
第四条.    エコミュゼの自然及び文化遺産は代替え可能で非物質的な動産と不動産で構成される。それは譲渡可能で時効にかからない。代替え可能資 産として は、それが表示する生物種や人種に関係するもの。工業分野を示す動産としては大量生産品の一品がある。
取得法(省略)。エコミュゼ閉鎖時の収集物処分法(省略)。

エコミュゼの運営
第五条.    原則として三委員会で運営(細目略)。
第六条.    科学委員会。エコミュゼの職際性の反映として、農学、考古学、生物学、生態学、経済学,民族学、地質学、歴史、芸術史、社会学など各 エコミュゼの基本性格を示す専門家で構成される。(以下略)
利用者委員会。住民のエコミュゼ参加の表徴として、エコミュゼを規則的に利用し,活動に協力する協会など組織の代表で構成される。(以下略)
管理委員会。(以下略)

第七条.    協会的組織の場合。三委員会の代表で運営諮問機関を作る。
エコミュゼの長
第八条.    (省略)。
文化省の介入
第九条.    (省略)。

(UL6/7/07)