ヤン・アルチュス=ベルトランの映画「HOME」は2009年に公開された美しい地球の空撮で、温暖化の指摘と行動への訴えです。
http://www.youtube.com/user/homeprojectFR で、約一時間半のHOME(FR)が見られます。

        「HOME」の解説の抄訳
「HOME」はフランス語原版だけでなく、多くの言葉の版が出ていますが,日本語版はなく、和文の書籍や日本語字幕のビデオは販売されています。この映画は只で配布され、より多くの人々に見て頂きたいと、宣伝も依頼しています。そのため、フランス語版HOME(FR)を理解する に最小限と思われる抄訳を作りました。最後に出て来る「斜体文字」は字幕の訳です。宇田英男。
---------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
画像                                                    時間
--------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
火山と噴火口                                                2.30
物質の混合で出来た地球から奇跡が生まれた。我々の生命は四十億年続いて来た歴史の結果である。今日でも地球を彫刻する火山は、地球の本質を教えてくれ る。深みから湧き上がる溶岩は噴出し、流れ、膨らみ、尖って冷める。噴火口から上がる煙は昔の大気と言え、酸素はなく、炭素と蒸気に満ちた厚い大気であ る。
水の流れの形                                               4.30             
それから、蒸気は冷えて水になり、豪雨となる大洪水時代。太陽との距離が遠くも近くもない地球では、完全で微妙な均衡が出来て、水が液体の形でいられる。水は 流れを作り、木の枝のような形を作り、川は岩からミネラルを抽出し、淡水の海を塩水にして行く。
熱中泉(米国イエローストーン公園)                     5.50
ここで最初の命が生まれる。水に色を付けるのは熱水で生きるバクテリア。古細菌と呼ばれ、太陽のエネルギーを捕えるようになった。古細菌は全ての植物の先祖で、その子孫が地球の運命を変え、大気を作って行く。
地層の露頭                                 7.00
昔大気に満ちていた炭素は何処にあるか?どこにでも!地球を覆う岩石の中にも。ここは古代の海で、微小な生物が大気中の炭素で殻を作った。この地層の岩はその無数の生物の殻の堆積である。御陰で大気の炭素が減り、もう一つの生命が始まる。植物である。
滝                                     7.30
生命が大気を変えた。植物が水質を変え、酸素を作り、酸素は大気の一部となった。水はあらゆる所を循環するが、何時も一定の水が地上にある。水は氷にも蒸気にもなる素晴らしい物質だ!
シベリアの湖                                8.40
氷が水を覆い、生命を保護する。全てが関係している。我々が生きるに必要な酸素を作ったのは藻だ。
珊瑚礁                                   10.00
地球で全ての生物種が均衡を取る。微妙で脆い均衡だが、滅びることはない。
珊瑚は海藻と貝の合体。海の一パーセントを占めるに過ぎないが、魚や海藻や軟体動物の住処として、海全体の均衡に役立っている。
森                                     11.20
樹木が生まれて四十億年。樹木は進化の連鎖の一つの到達点。生きた彫刻。重力に挑戦する。シアノバクテリアから光を捕える力を引き継ぎ、幹や葉を作り、それが水の中で分解し、生きたミネラルになる。
沼、川                                   12.30
こうして、少しずつ土壌が出来て行く。虫や微生物が腐葉土を作り、大陸になる。
鳥の島                                   13.00 
地上のどれだけ生物種がいるか?それらの間の関係は?
獣の道 地球は奇跡だ!生物は神秘だ!象                   13.45
世代に世代が続いて来た。キリン 夫々に食べる樹があり、食べられた樹は芽を吹く。河馬 フラミンゴ トナカイ 全ての生物に役割と居場所がある。どれも無駄でなく、均衡がとれている。
アフリカの村(ケニア)                           15.40
そしてお前はホモサピエンス、「考える人間」だ!生まれてから二十万年しか経たないのに、地球の表面を変えて行く。脆い存在なのに、全地球を占領した。他の生物に出来なかったことだ。
川、舟                                   16.30
放浪の末、人々は定着した。狩りで生きる。水のある場所を選び、今でも多くの人が水辺で生活する。
土で出来た都市(マリ共和国)                        17.40
四分の一の人達が千年前と同じ形で生活している。四季を通じ、自然がもたらすエネルギー以外は使わない。
舟から出る人 丸い家の村 崖                        18.40
寿命は短く、生活は厳しい、自然変化で日々の生活は苦しい。教育は稀だ。人手が要るので、子供は財産だ。
隊商(モーリタニア)                            19.30
人には自分の弱さを直感する才能がある。自然が与えてくれない体力を動物から借りて、それで新しい領土を発見しようとする。
多色の畑(スワジランド)                          20.40
一万年ほど前に発明された農業は歴史を大きく変えた。初めて余剰が生まれ、都市が出来、文明が作られる。
都市 刈入れ                                21.00
穀物を発明し、変種を作り、土地と気候を結び付けることを学んだ。
 棚田                                  21.40
我々はその日その日の食べ物を探さなくても済むようになった。人々は忍耐と犠牲で土地を変えて行く。人類の半数が農業に従事し、四分の三が今でも手で耕作している。代々引き継がれた農業。それは人が生延びる条件だ。
石油の火                                  23.10
ある日地球の深い所から上がった火。この炎も元は植物。何百万年もの間に貯まった太陽エネルギーである。石炭、ガス、特に石油は人間を解放し、 時間を超越することを許した。石油の御陰で一部の人は、今まで人類が知らなかった快楽を享受している。この五十年で今まで見られなかった程地球が変わっ た。
摩天楼                                   24.30
全てが加速する。この六十年で世界人口は三倍になった。二十億人が都市住民になった。全てが加速する。深圳四十年前の小さな漁村が、今は百の摩天楼の百万都市。全てが加速する。上海 三千の摩天楼が出来、まだ百ほど建設中。ニューヨーク 最初のメガロポリス。人間の知恵による全てのエネルギー利用の象徴。移民労働者と石炭に石油。
車                                     32.50
自動車は進歩福祉社会の象徴。
多彩な化学物質 (南ア連邦、露天鉱山)                   33.10
全てが加速する。85%の資源が20%の人のために使われている。世紀の終わりには資源は全てなくなる。ダンプトラック
造船所                                   34.20
全てが加速する。殆どの商品が生産地と消費地の間を、何千キロも運ばれる。1950年以来、国際交易は二十倍になった。コンテナ船 九割の交易が海路。年間五億個のコンテナが動き、コンテナ船がドバイのような消費地に行く。
ドバイ                                   35.10
西欧モデルの最終形。不可能が可能になったような海の上に描かれた都市。何もない所に石油の金が大量の物資を集める。世界中から労働者が来て、世界一高い 摩天楼を作る。畑がないので食料は輸入。水がないので海水を淡水化。世界の金の新しい灯台、トータルなトーテムポール。この町ほど自然から離れたものはな く、自然が与えてくれるものが尽きるという意識がない。
  工場船                                36.50
1950年以後、漁獲量は六十倍に増えた。何千もの工場船が乱獲し、四分の三の漁場がなくなり、大型魚が消滅した。我々は恵まれた生命のサイクルを壊しつつある。
漁民                                    38.40
魚は地球の五人に一人の基本的な食品なのに、このまま行けば漁場はなくなってしまう。
砂漠                                    39.10
我々は忘れているが、資源は乏しい。西欧の人口以上の五億人が砂漠地域に住んでいる。彼らは水の価値を知り、その使用法を心得ている。これが何千年も前に降った雨をくみ出す砂漠の井戸。
ドリップ灌漑の円                              39.50
灌漑のカルーセル(円形撒水装置)で出来る円形の畑。化石化した地下水は殆ど更新されない。サウジアラビアの砂漠緑化の夢は消える。白くなった円の所は灌漑システムは残っているが、地下水が枯渇した。
イスラエル                                 40.50  
イスラエルは砂漠を農業化した。節水型の温室で作る食品を輸出する。このためヨルダン川の水が減り、死海 の水面は毎年一メーター以上下がっている。
ユーカリ                                  51.00
森林消失のもう一つの理由はユーカリの植林。紙パルプを作る。紙の消費量は五十年で五倍になった。植物への毒を出すユーカリの下には何も生えない。人々は他にも生活のために森を壊す。             
ハイチ
                                   52.00
二十億人が木炭を使っている。最貧の国ハイチで木炭は主要産品。カリブ海の真珠と言われたハイチは外国援助無しで生きられない。ハイチにはもう2%しか森が残っていない。雨が土壌を洗い流し、土壌は耕作不能になった。
マダガスカル                                52.45
浸食のひどい地域では何千年も掛かって出来た土壌が失われた。
イースター島                                53.30
世界最果ての島で、住民は資源を使い果たし、文明は消え失せた。世界一高い椰子の木はなくなり、船も造れず漁も出来ない。どうして、人々は間に合ううちに行動しなかったのか?
ナイジェリア  ラゴスの町                              55.30
1950年以後世界人口は三倍になり、その間に地球を大きく変えた。ナイジェリアはアフリカ一の産油国。しかし住民の七割は貧困。これは例外ではなく、世 界の貧民の半分は豊かな国に住んでいる。発展の結果、富の偏在はどんどん大きくなり、世界の富の半分を2%の人が持っている。この偏在が引き起す移動は十 分意識されていない。世界中で毎週百万人が都市に移住している。
船上生活者                                 57.50
世界で六人に一人が不良住宅、水道も便所も電気もない家に住んでいる。
ゴミ集め(ダカール)                            58.30
生活のためにゴミをあさる人は資源を回収する。世界で資源の利用は段々難しくなっている。
タールサンド(カナダ)                           59.30
大量の水を使ってタールを砂から分離する。巨大なエネルギーを使って破局的な汚染を起こしている。太陽エネルギーのへそくりを引き出すのが何より緊急と言わんばかりだ。
タンカー                                 1.00.43
エネルギー需要の増大と共にタンカーは大型化する。
北極海の船                                  1.01.05
ここでも炭素に関する大気の温暖化。我々は地球の気候均衡を破壊した。数年前、この船がここを航海することは考えられなかった。極地ほど温暖化のよく見え る所はない。氷の厚さは四十年で四割減った。氷が全てなくなるのは2030年、2015年という説もある。今は、北極経由でアメリカ、ヨーロッパ、アジア が繋がった。
数万年前から、炭酸ガス濃度が今のように高かったことはない。
犬ぞり                                  1.03.20
生物種の破滅。2050年までに生物種の四分の一が消滅し、極地では、均衡が既に崩れている。トナカイ  シロクマ 北極の氷の面積の三割が三十年でなくなった。
グリーンランド                              1.05.45
地上の水の二割が氷である。それが溶けると海面が七米上がる。
大気は一体で公共財である。グリーンランドの氷は最も悲観的な予測より速く消滅している。
島の国 (モルジブ)                           1.09.20
気候の地理は変わる。低い島の住民が最初の犠牲者だ。既に移住地を探す動きもある。
東京                                   1.09.40
東京のような大都市はどうなるか?世界には海に接している大都市が多い。海面上昇と地下水、飲料水。
キリマンジェロ                              1.10.50
80%の氷がなくなり、住民は水不足。
ヒマラヤ                                 1.11.30
ガンジス、メコンなどアジアの大河の源流。バングラディッシュでは三分の一の国土がなくなる。
豊かな国でも旱魃が起き、オーストラリアの農地の半分が被害を受けた。一万二千年にわたって人類が享受して来た気候的均衡を、我々が台無しにしようとしている。
山火事                                  1.13.40
これも気候変動が原因だ。
シベリア                                 1.14.20
気候温暖化のバロメーター。永久凍土の下の恵み、メタンは炭酸ガスの二〇倍温暖化する。凍土の融解で出るメタンガスが温暖化を促進する。その結果を知る者はいない。恐らく、それを防ぐには十年程しか残されていない。
雲、水                                  1.15.30
我々は我々を超越する現象を引き起してしまった。本来、水、空気、 生体は密接に結びついている。少し前から我々はこの結合を壊した。我々には表面しか見えないが、我々は知っていることを信じなければならない。ここに見て 来たことは我々の姿に似ている。我々は自分の姿に似せて地球を変えて来たからだ。そして、それを直すには少しの時間しか残されていない。我々が責任を取ら ねば、長い歴史の残して来たものの行く末は分からなくなる。
二割の人間が八割の資源を使っている」                   1.17.17
高速道路 シャルルドゴール空港
世界の軍事費は開発援助の十二倍」                     1.17.41
空軍基地
毎日不潔な水で五千人が亡くなり、十億人には飲用水がない」         1.18.00
十億人が飢えている
穀物の五割が飼料と燃料になる
耕地の四割が悪化している
毎年千三百万ヘクタールの森がなくなっている
哺乳類の1/4、鳥類の1/8、両棲類の1/3の種が消失している
自然の速度の千倍で生物種が消滅している」                 1.20.00

漁業資源の3/4がなくなるか、減少か、消滅している

この15年の平均温度は記録を超えている」                 1.20.20
極地の氷の厚さは40年で4割減った
2050年以前に二千万人の気候亡命者が出る」               1.20.55
亡命者キャンプ
万里の長城                                 1.21.30
人々は何時も壁を作っている
もう悲観するには遅すぎる。
一人では全ての壁は壊せない
もう悲観するには遅すぎる。世界で子供の五人のうち四人が学校に行く。今までこのように教育の進んだ時はない。貧しい者も豊かな者も行動出来る。
カタール                                  1.22.00
カタールは最も豊かな国。世界一良い大学がある。教育、研究は枯れない資源だ。NGOは人々の連帯が国家のエゴより強いことを示している。バングラディッシュで貧乏人にしか金を貸さない新しい形の銀行が出来た。
南極                                    1.22.40
もう悲観するには遅すぎる。水の保全。公園。米国も自然の役割に気がついた。韓国で戦争でなくなった森を植林し、国土の65%が緑になった。65%の紙が再利用されている。コスタリカは軍備の代わりに環境保存をし、軍隊はない。ガボンでは生産者と消費者の間の正義を確立する。
綿                                     1.24.35
消費する時に考えよう。もう悲観するには遅すぎる。人間の尺度の農 業。海を元気にする漁業。ドイツのソーラーパネル付き住宅。ニュージーランドなど多くの国が再生可能エネルギーを優先すると決めた。我々の使うエネルギー の80%が化石燃料だ。デンマークの発電所では炭酸ガスを地中に入れる。アイスランドの地熱発電所。波力発電の「海の蛇」。デンマークは風力発電で20% を賄う。ソーラー発電。太陽エネルギーは無限。
我々にはまだ残っているものがある。半分の森。河。氷山。まだ生きている多くの空間。我々は解決法も知っている。我々は変化させる力を持っている。それでは、何故待つのか?
話の続きを書くのは我々だ                         1.29.40